音楽ライターを志す私が今年刺さった15曲を選んでみた

気が付けばもう12月ですってよ奥さん。今年もいろいろありましたね。

今年1年を振り返ってみるついでに、せっかく音楽のこと書いて文字で飯を食っていきたいと思っているのであればこういう方法で自分のアピールもしてみるべきだよね、と思ったの。というわけで15曲まとめてみました。当初は10曲にしたかったんだけどなんやかんや足が出まくってこうなった。最低文字数なにそれおいしいの？

ヒゲダンもあいみょんも米津玄師も入ってないしKing Gnuは入れてるけどそれかよ！みたいな曲のチョイスですがぜひ読んで下さい。こいつわりと悪くないチョイスやんけ、って思った音楽メディアの皆さんはぜひ仕事を下さい。

①折坂悠太／朝顔

以前のブログでもこの曲はオススメしたんですけど、折坂悠太は来年もっと評価されて欲しい。ドラマ主題歌やったのに、ほんでしかもその主題歌もこんなにいいのに？？？WHY？？

音楽って当たり前なんですけど聴覚を使って聴いているわけですよ、けれど彼のこの曲は誰かの肌に掌で触れているような、掌から36度7分の体温が伝わってきているような、触覚を伴って身体に沁み込んでくるような音楽だなあと思ったの。ほんで彼は声の通り方が半端ない。この楽曲の最後のフレーズのロングトーンが本当に一切ぶれのない真っすぐで伸びやかな声でそれでいて鋭くて、私は琴線にめちゃくちゃ触れました。

MVのノスタルジックな雰囲気がまた良くて、記憶の片隅に眠ってるような乾いた土と泥の匂いとか夏の蒸し暑い青臭い匂いとか、ちょっとかびた畳の埃っぽい匂いとか、そんな懐かしい匂いが鼻の奥に蘇るんだよなあ。折坂悠太は五感に訴えかけてくるアーティストなんだな。

この調子でいくとこの記事余裕で10000万字超えそうなんだけど大丈夫か？

②オトナノススメ～35th 愛されSP～／怒髪天

はい最高。もうほんと最高。なにが最高ってまず頭からケツまでメンツがおかしい。邦学バンド界の大同窓会か？国宝級のビデオですよまじでこれは。

学生の頃からなんでか同年代よりずっと年上のアーティストが好きで、そんな私も気づけば私も30手前で、好きな人たちも悉くアラフィフになっちゃって、それでもこのMV見てるとみんな本当にまだまだ音楽好きなんだなあと思えてもう泣きそうになっちゃう。

今年自分の環境が目まぐるしく変わって、昔夢見てた好きな事で飯を食う、音楽に関わって飯を食うっていう理想の生活がやっと手に入って、私の人生まじでこれからだと思ってた矢先にこんな素敵な曲とMVに出会って、ああこの曲は今の私のテーマソングだと心から思っているわけさ。

いつか理想の生活を手に入れたくて、歯を食いしばりながら毎日生きてた昔の私よ見てるか。君らのおかげで今の私は最高に楽しいぞ。

③海辺に咲くばらのお話／Cocco

普通に生きてりゃ自分の身の振り方ぐらいはみんな考えるだろうけど、みなさんは自分の命の振り方を考えたことはあるか？いわゆるメンヘラ御用達とか言われやすいアーティストの人たちって一概に、やっぱり一度死の淵を覗いたり自身のこれからの命の振り方を考えたことがあるんだと思う。奇跡的に生きる方向に命の振り方の舵を切った人たちが、メンヘラ御用達のように扱われてるのもどうなんだろうと思うけれど。

そういう意味で復活したCoccoの歌が明らかに生きる方向に命の舵を切っていて、本当にありがとうという気持ちしかない。命というもの、生きることへの祝祭感、そういったものがこの曲には詰まっているような気がする。若い演出家が映像を手掛けたことによって、曲の持つその瑞々しさもより伝わってくるように感じています。

まじでめちゃくちゃ余談なんですけど、Coccoのロングトーンの声がクレヨンしんちゃんに聞こえる時ってない？

④あの娘が暮らす街（まであとどれくらい？）／スカート

言わずもがなスカートの曲もとても良いんですけど、ちょっと前に『累』と『アクタージュ』という漫画にハマって、人が人を演じることってすごく興味深いなと思っていたんですよ。そう思ってた矢先にこの曲のMVを見て尾野真千子さんの演技が凄すぎて普通に感動してしまった、という話。

喜怒哀楽のどれにも明確に当てはまらないし、なんならいくつかの感情にちょっとずつ跨っているような、ものすごく複雑で繊細な感情の表現がとても素敵だと思った。眉間の影や瞬き1つですら作り込まれていて圧巻。同じような理由で映画『万引き家族』のラストの安藤サクラの取り調べ室のシーンがめちゃくちゃ好きです。最近演技にも興味があるんだけど、いかんせん全くもってズブの素人な自分の経歴をちょっとだけ恨むぜ…。

⑤浪漫と算盤／椎名林檎と宇多田ヒカル

楽曲だけでいくと『二時間だけのバカンス』の方が好きなんだけどMVとかコンセプトとかひっくるめた時にこの曲の完成度が高すぎてえぐい。この曲についていろいろ所見を書いたのはこちらをご覧頂ければと思います。なのでここで再度御託を述べるのはもうよしておこうと思います。陰の宇多田ヒカルと陽の椎名林檎最高かよ～！

⑥SLEEPWALK／ヒトリエ

例に漏れずwowakaさんが亡くなった後にヒトリエちゃんと聴いてみた勢なので、元々ファンの方からすればてめえ知った口で語ってんじゃねえよって話かも知れないんですけど私はこの曲が一番好きです。やっぱり私はアジアンサウンドが好きだ。

彼の死で久しぶりにボカロ界隈を覗いてみれば、彼以外にもぽわぽわさんとかSamfreeさんとか私の思春期を支えてくれていたたくさんの逸材が亡くなっていて、無常観を感じざるを得ないというか。20代も後半になるとぽつぽつ周囲にこの世から去っていってしまう人たちもいて、そんな中でじゃあ自分は何ができるかって思うとやりたいことやりたいようにやるしかないなあって。望まない誰かの死が誰かの生きる糧になって、きっとそうやってこの世の中は廻っていくんだろうね。

⑦Family Name／ZOC

アイドルに関してはわたしどこまでもサブ路線の方が好感度高くなってしまう傾向があって、ももクロ全盛期はでんぱ組推しだったし、WACK全盛期の今はZOCの方が推しです。あと明らかに一度闇を抱えた女の子たちだからこその輝きに惹かれるのかもしれない。お仕事の案件でZOCのことをいろいろ調べて書いたりしたっていうのもあって、めちゃくちゃ愛着があるんだと思います。

実はだいぶリアルタイムで義実家の根深い闇案件を抱えていて、この曲が激刺さりしています。まだ根本の解決が全く見えない状況で闇しかないから詳細は伏せるんだけど、嫁入りして同じ呪いを抱えたのは私の意志だから。綺麗事も正論も時には誰も救わないかもしれないってわかってるし、結局私は私が幸せになる為の行動しか取れないし。それでも私は自分の身の回りの人たちぐらいは、せめて幸せに生きて欲しいんだよ。

⑧GIANTSTAMP／Suspended 4th

久しぶりにド直球サウンドで直感でかっこええぞ！って思うバンドが出てきたと思ってます。元々が路上出身のバンドってもうそれだけでカッコよくないですか？Suspended 4thに関しては個人的に一番推しの曲はINVERSIONなんだけど去年の曲だったので、せっかくならメジャーデビューに関連する曲をと思ってこのチョイスになりました。この曲も初見はそんなにって感じだったんだけど繰り返し聴いてたらハマってきてます。

あと何よりPIZZA OF DEATHからリリースしてるっていうのも大きくて、元々あそこパンクとかメロコアのイメージが強かったので個人的には全然食指が動かなかったんですけど、あそこから音源出すって聞いた時に格好いい音楽はどこでもちゃんと評価されるんだなっていう実感がすごいありました。一バンドマンとしても勇気をもらえた案件だなあと思います。

⑨聖戦(Holy War)／女王蜂

いいよね女王蜂、去年今年でめちゃくちゃ進化してると思う。 サビの歌詞がとてもよくて、今この場所に立っているアヴちゃんが歌うからの重みが凄い。女王蜂も決して恵まれて望まれて、正しく正当に評価され続けてきたバンドじゃないと思うから。あとこのMVを公開した時のアヴちゃんの一言もめちゃくちゃ良くて、『たとえ彼女が悪霊だったとしても、悪者にはしたくなかった』っていう一言がアヴちゃんだから言える言葉なんだろうなあと思ったの。正義の反対は悪ではなくでまた別の正義、っていう言葉を肌身で痛いほどに感じた事がある人じゃないと出てこない言葉だと思うんです。

ヘドウィグ＆アングリーインチの舞台行きたかったなあァァァ

⑩The hole／King Gnu

『白日』はみんなが今年の1曲に挙げてるのでもういいかなと思った時に、それでも今年の音楽の話をするときにKing Gnuの存在を無視することはできなくて、じゃあ『白日』に繋がった曲は何だろうと思った時に間違いなくこの曲だと思ったんですよ。アルバム『Sympa』の中でも明らかに異質な曲なんだよねこの曲。それまでのミクスチャーっていうサウンドからもう一段階バンドが上に行って、クラシカルなポップスのサウンドを自分の物にしたことで『白日』が生まれたと思っています。元々サマーレインダイバーみたいな曲もあったといえばあったんだけど。

だからアルバムリリースした時はこの曲にあんまりピンとこなかったんだけど、『白日』が爆発ヒットしてから聞き返すと明らかに伏線じゃーんなによこれ～って一ファンとして思ったのでした。

あと5曲残ってんの？まじ？そろそろちょっとしんどくなってきたんだけど

⑪バンド 二〇一九／クリープハイプ

クリープハイプに関しては『ニガツノナミダ』も曲の造りがとても面白いなあと思ったんだけどバンドのことを考えるとやっぱりこっちの曲だよなあと思いました。クリープハイプというバンドが変わったターニングポイントの曲だと私は思ってたから、前にもお話してたと思うんですけど。

私自身も一生今のメンバーとバンドはし続けようと思っているから、逆にいつか必ずこんな日を迎えたいなあと思いながらMVを見てました、というお話です。活動が10年20年単位で続くバンドでもいろんな理由で脱退や解散はあるけれど、クリープハイプには『このバンドでできることはやり切った』みたいな終わりを迎えてほしくないなあと思っています。

⑫エリザベス／MOROHA

今年やっと念願のMOROHAを見ることが叶ったのですが、相変わらずどんな曲でも聞く度に涙がこぼれてこぼれてしょうがないんですよ。その証拠に今もこれを書きながら1人でだらだら泣いてます。この曲を聞いて思い出した、デジカメを必死こいて握ってた昔の自分を最近やっと成仏させてあげられたと思っているんです。 あの頃必死に1人で生きてた自分は間違っていなかったよって、みんなのことが大好きだったんだよね、誰にもその思いが伝わらなくても。

久しぶりに最近カメラをまた手に入れました。あの頃よりちょっと性能のいいデジタル一眼。買ったのは仕事の為でもあるんだけど、また昔みたいに周りの大好きな人たちのことを形に残そうと思っています。写真には写らないかもしれないけれど、そこに映る誰よりも、私がいたという証拠になるように。

⑬東京／フジファブリック

正確には2018年にMV公開された曲なんですけど、収録アルバムのリリースは年明けなので入れさせて下さいな。久しぶりにフジファブリック格好いいなって思った曲がこれです。間奏のめちゃくちゃグルーヴィーなベースとか、サビの後ろにいるコーラスがちょっとスピッツっぽいとか、そういう細かい所がめっちゃツボです。『東京』と名の付く曲は名曲説がこれまた立証されてしまった…。

フジファブリックも志村がいなくなって気づけば10年経って、やっぱり今でも志村にしか書けないようなハッとする詞があったから昔のフジファが良いっていう人も確かにたくさんいるんだけど、サウンドのレベル感としてはやっぱりかなり成長していると思いますよ。

⑭留学生／MONKEY MAJIK×岡崎体育

お仕事の案件でMONKEY MAJIKのことをこれまたいろいろ調べてたんですけど、最近のMONKEY MAJIKもめっちゃ格好いいんですよね、私ずっと『Around the World』で止まっちゃってたからああ～いかんな～と思って。サンドウィッチマンとの『ウマーベラス』もガチやんけっていろんな人が言ってたんですけどこちらもまあまあガチですよね。オールダブルミーニングの歌とかも面白さめっちゃあるなあと思って。岡崎体育とのコラボだからできた曲でもあるだろうなあと思うし。

いろいろ調べてたらリズム隊の2人が実は普通に日本人なんかい、とか東北に住みながらメジャーデビューしてたんかい、とかいろんな発見があって面白かったです。音楽好きな人はぜひMONKEY MAJIK改めて聴いてみて下さい。めっちゃいいから。

⑭ON THE ROAD／竹原ピストル

竹原ピストルもずっといいよな～と思いながらライブも結局1回も行けてないし音源も買えてなくて私はなにをしてんねんっていう話ですよ。CMの曲の歌詞も深くていいって人気なんですけど、私この曲をスペシャで初めて聞いた時にサビの一番最後の歌詞に ものすごくハッとさせられてしまって。私自身がフリーランスの駆け出しでお金のことを考えさせられることも多くて、それと同時に竹原ピストルも紅白歌合戦まで出て一般的には売れた歌手として扱われるんだろうけどこの人はたぶんどれだけ環境が自分を押し上げても何にも変わらないんだろうなあと思って。人をハッとさせられる日本語を使える人になりたいなあと最近はただそれだけ思ってる。

⑮HIGH WAY BEACH／Age Factory

いつのまにやらUKプロジェクトに移籍しちゃってどんどんバンドとしてでかくなってるのがめちゃくちゃ嬉しい。夏の魔物もやり上げてくれたみたいだし。今年デジタル配信で出た3曲ぜんぶとても秀逸なんですけど私はこの曲が一番かな。一晩徹夜した後の早朝の澄んだ空気の匂いがとても似合う曲だと思っていて、私の中のエモーショナルの定義ってこれかなあと思っている。海のない奈良に住む彼らはどこでこの情景を手に入れたんだろうな。

来年、再来年くらいにAge Factory絶対爆発すると私は信じている。彼らはどこまで行くんだろうな、まじで早めに目を付けておいた方がいいと思いますよ皆さん。

ここまでなんとか6000字には収まってるな。これ書くのに1日半費やしたんですけど私の腕が知れてしまいますね…。

もしよかったら皆さんの今年刺さった曲も教えて欲しいな、最後まで読んで頂きありがとうございました。来年はもっといい音楽にたくさん出会うことができますように。